サイクル25のピークは2024年だった?
太陽は、約 11 年周期で黒点の数が変化しています。2025 年はこの太陽黒点の数が極大となる時期と予想されていました。しかし、2025 年になって昨年より太陽黒点の数が少ない月が続いています。そこでこれまでの太陽黒点数の観察データをプロットしてみると、2024 年が極大であり 2025 年はすでに下降期に入っている可能性も考えられます。ただし過去の周期では何度かピークを持つ周期があるので、この後また黒点数が上昇する可能性も否定できません。
目的
太陽は、約 11 年周期で活動が活発な時期と穏やかな時期を繰り返しています。太陽の活動が活発になると電離層の電子密度が高くなり、電波をよく反射するようになります。そのため小さい電力でも遠くと更新できるチャンスが増えます。実際、太陽黒点周期(サイクル 25)で太陽の活動が活発になると予想されている 2024 年はQRP Labs の QDX (出力 5W 以下)でもヨーロッパや南米と交信することができました。
これまでの周期から予想して、2025 年は活動が最も激しくなる年と予想されていました。しかし 2024 年よりも太陽黒点の数が少ない月が続き、遠くの局と交信するのが難しくなったような気がします。もしかしてこのサイクルのピークは過ぎているのでは思うようになりました。
そこで、太陽黒点の数を自分でプロットして傾向を見てみることにしました。
方法
太陽黒点の数は、国立天文台の黒点相対数・黒点面積1から月平均値を使用しました。
太陽黒点相対数のプロットに使用したコードとデータは、GitHub - nosuz/sunspot-numberから取得できます。
テーブルデータの取り込み
国立天文台が公開している太陽黒点相対値の月平均値には、観測方法の変更に関するメモが挿入されています。それを削除した上でsunspots2xls.py
で処理し Excel 形式に変換しました。
wget https://solarwww.mtk.nao.ac.jp/mitaka_solar/sunspots/number/mtkmonthly.txt
awk '/^ [0-9]+[[:space:]]+[0-9]+/' mtkmonthly.txt > sunspots.txt
python sunspots2xls.py
黒点相対数のプロット
太陽黒点総対数の推移は、ggplot
を使って作図しました。
サイクル 25 のピークは 2024 年だった可能性
全てのデータをプロットすると次の図のようになりました。確かにこれまでほぼ一定の周期で太陽黒点の数が増減していることがわかります。
また太陽黒点が多い時期であっても、その平均値の最大は周期毎に異なり、前回のサイクル 24 の時には最大でも月平均が 100 を少し超える程度のこともあるようです。活動が活発な時期には、単純に平均値が上昇してゆき 1 つのピークを持って下降するのではなく、何度かのピークを経た後に下降する傾向が見られます。
今回のサイクル 25 に注目するため、2020 年以降の部分をプロットすると次の図のようになりました。
2019 年 12 月に極小を迎えたサイクル 25 は、2020 年 1 月以降太陽黒点の平均数が毎月上昇しています。そして 2023 年暮れから 2024 年頭に少し太陽黒点が少ない期間を挟んで、2024 年は太陽黒点数が毎月 130 程度を維持しています。そして 2024 年 8 月には月平均が 197 に達しました。
しかし 2025 年に入ると毎月太陽黒点数の平均値が下降しています。
2023 年 10 月から 2024 年 3 月まで一時的に低い期間がありましたが、このように 2025 年 1 月から 4 月は一時的に太陽黒点が少なくなる時期なのかもしれません。また、過去のサイクルを見ると、太陽黒点数のピークが 1 度ということはなく、何度かのピークを持つサイクルのほうが多く見受けられます。
しかし、1929 年や 1938 年のようにピークが 1 度きりの場合もあり、また前回のサイクル 24 のように目立つピークを持たない場合もあります。そのためこの後にまた太陽黒点数が上昇する可能性はありますが、すでにサイクル 25 の極大期を過ぎ下降期に入っている可能性を否定できないように考えます。
参考サイト
- 国立天文台 黒点相対数・黒点面積
- 杉谷 康雄(近畿支部) 天文教育 2009 年 11 月号(Vol.21 No.6) 新しい太陽活動周期の極大値を予測してみる